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書籍出版 海風社 書籍案内

  • 奄美八月踊り唄の宇宙
  • 奄美八月踊り唄の宇宙

    清 眞人 ・ 富島 甫

    2,000円+税

    南島叢書94 / 並製

    奄美の本土復帰60年の節目にあたって南島叢書第94巻めにして初の
    「奄美の八月踊り唄」の現代語対訳付の本格的論考が刊行となった!
    著者の清氏は奄美三世であり、もう一人の著者富島氏は奄美在住にして太平洋戦争とその後の復帰運動を経験した。
    富島氏が根気強く収集記録をおこなった奄美に伝わる「八月踊り」の時に歌われる「八月踊り唄」をベースに清氏が対訳を仕上げ、そこに民俗学的視点からの奄美の文化・芸能論を展開した。

    「奄美の八月踊り唄」の男女の掛合い唄こそが、ひとのコミュニケーションの原点であり、現代人が失い欠けている《生命感の回復》と《共感的絆の回復》を気づかせてくれるという。

    2023.10.18

奄美八月踊り唄の宇宙

奄美八月踊り唄の宇宙

清 眞人 ・ 富島 甫

2,000円+税

南島叢書94 / 並製

 相聞歌というテーマに戻る。
 性の民俗学の追求者として名高い赤松啓介を探訪しよう。
 赤松は、著書『民謡・猥歌の民俗学』の終結章で、同書の考察は日本の近世民謡(私としては、本州(ヤマト)の、と限定詞を付け加えたい)に限定されるとあらためて述べたうえで、近世民謡を古事記、日本書紀あるいは万葉集が鮮烈に示す古代民謡と鋭く対比し、実に的確にその限界をおおよそこう特徴づけ批判している。-古代民謡のあり方が通用した平安末期ころまでは庶民のあいだにも自由恋愛の風習が残っていたので、古代民謡は真に「ラブ・ソング」と評しうる。だが、近世民謡に歌われる愛と性の歌はもはや決して「ラブ・ソング」と評しうる資格をもつものではない。というのも、それらは「情事にとどまって、恋愛に成長しないからである」と。
 この視点はいい。私は気に入った。
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第2部第1章「奄美八月唄はいかに本州(ヤマト)の近世民謡と異なるか-赤松啓介と折口信夫を手掛かりに」より