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一般書

ひがた記

注文する書籍の紹介太田 順一 著・写真
小さな世界


 大学生だったころ、メッセージ性の強いジャン=リュック・ゴダールの映画を随分と見た。私だけでなく映画好きの若者の多くがそうであったように思う。一九七〇年前後という政治が突出した時代ならではだったのだろう。
 今の私なら、あんな観念的で退屈な映画など見ようとは思わない(ジーン・セバーグが初々しい「勝手にしやがれ」だけは別だけど)。でも当時の私は、各シーン各カットが意味するものは何なのかと、それこそ観念的に必死で考えながらスクリーンと向き合っていた。
 今でもそらんじているゴダールの言葉がある。何とも勇ましいアジテーションだが。
 「ブルジョワジーは自らの姿に似せて世界(イメージ)をつくる。同志諸君、我々はそのイメージを解体しなければならない」
 写真も社会の意識(イメージ)を形成するのに大きな役割を果たすメディアだ。しかし私は長年、ドキュメンタリーの分野で仕事をしてきたが、写真を「解体」のために使おうなんて考えたことは一度もない。写真は何かのための道具なんかではなく、それ自体が豊かで底の深いものだからだ。声高なものには、たとえそれが真実を語っているとしても、決して与(くみ)しまいと私は思い定めている。
 干潟で私が写しとめているのは生きものたちの小さな世界だ。人間界の逼迫した諸問題からは遠く離れているようにも見える。でも時々、こう感じたりする。本当はこの干潟のほうがとてつもなく大きな世界であって、私も人間界もちっぽけなものだ、と。

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