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書籍出版 海風社 書籍案内

  • 愚者の精神史きれぎれ-農本主義から柳田国男、宮沢賢治、そして鬼
  • 愚者の精神史きれぎれ-農本主義から柳田国男、宮沢賢治、そして鬼

    綱澤満昭

    1,900円+税

    一般書 思想史 / B6判 / 196頁 / 2011/11 初版

    ISBN 978-4-87616-014-3 C0039

    著者の長年に亘る研究の姿勢は、代表的といわれるもの、主流といわれるものへの迎合を拒否し、常に懐疑的な視点を持つことに貫かれている。
    かつて「柳田学批判」への転回を恐れることなくやってのけた著者綱澤満昭が、自らの「日本の近代思想史研究」の道のりを振り返る時、自在に語られる農本主義から柳田国男、宮沢賢治、そして鬼論。
    必然のつながりが鮮やかに浮かび上がる。
    柔らかな著者の語りも魅力的。

    「日本の思想史研究」などと聞くと、専門書か。とたいてい腰が引けるという人に是非読んでほしい。お薦めする!

    2023.10.19

愚者の精神史きれぎれ-農本主義から柳田国男、宮沢賢治、そして鬼

愚者の精神史きれぎれ-農本主義から柳田国男、宮沢賢治、そして鬼

綱澤満昭

1,900円+税

一般書 思想史 / B6判 / 196頁 / 2011/11 初版

 縄文時代の風土の中に仏教はそのまま納まったんですよ。「山川草木悉皆成仏」という教え、山も川も草も木も何でも死んだら成仏するという考え方は、もともと縄文の世界にありますからね。
 もともとのね、アニミズムとしての。
 うん、アニミズムのなかにそれがあるから、仏教がスッと入るんですね。仏教がそれに乗っかったというか。これはキリスト教なんかと全然違う世界ですからね、そういう世界を賢治は生きようとしたんじゃないですか。だから今小学生やなんかには、私は宮沢賢治を読ますだけでいいような気がするね。その戦前の間違った教育じゃなくてね、この本当の人間の謙虚さ、人間は謙虚さが必要なんだと。人を出し抜いて引き摺り下ろして生きることだけを、近代は是認してきたところがある。それじゃあ世の中はもう良くならないよということを、小学生なんかに教えるべきじゃないかと思いますよ、大学も勿論そうだね。この汚れきった空気っていうものを浄化させるためにはね、そういうものが必要だと思いますね。なかなか賢治のようには生きられないけどね。そういう賢治の精神というものがねぇ、もうほとんど生かされないような競争社会・成果主義・市場原理、それにこの格差ねぇ。こういう汚れきった社会になってしまっているわけですよ。賢治精神の教育、そういう教育をせにゃいかんのじゃないですかねぇ。要領よく立ち回って出世したり金持ちになったりする、というような教育をしちゃあいけないですよ。

「第三章 賢治への道」より