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書籍出版 海風社 書籍案内

  • いろは文字鋂(いろはもじくさり)
  • いろは文字鋂(いろはもじくさり)

    江尻成泰

    1,200円+税

    一般書 歌あそび / B6判 / 88頁 / 2011/11 初版

    ISBN 978-4-87616-015-0 C0092

    「しりとり」といえば、幼子の遊びだが、これは優雅で知的な大人のしりとりワールドだ。
    15世紀室町時代の中期に流行した「文字鋂(くさり)」という歌あそびに出遭ってしまった著者が独自のルールのもとに更に「文字鋂」を進化させてしまった。

    ルールはシンプル。
    同音でつないだ尾音と頭音をたどっていくと「いろは歌」になるというもともとの「文字鋂」の約束事を踏襲すること。
    文語体(旧仮名遣い)であること。
    できる限り定型を守ること。
    一度使った句はつかわないこと。

    しかし、あろうことか著者は、この「いろは」を読み込む歌に意味を持たせようとしたのである。結果、空想の扉は開けっ放しにされ、古事記や万葉集、はては都々逸もどきまで誕生させてしまう。

    古典と文字くさりに興味のある方には絶好のテキストとなる。
    また、気軽にポケットに納めて『いろは文字鋂(くさり)』の世界に出かけてみるのも一興。句についての解説文ものびやかで楽しい。

    2023.10.19

いろは文字鋂(いろはもじくさり)

いろは文字鋂(いろはもじくさり)

江尻成泰

1,200円+税

一般書 歌あそび / B6判 / 88頁 / 2011/11 初版

いざや人麿(ひとまろ)
羅馬(ろーま)に以呂波(いろは)
春吹く風に

西の国の秀(ほ)
誉め歌詠(うた)へ
碧眼の士と

共に行く道
散る花もあり
輪廻(りんね)を尋ぬ

鵼鳥(ぬえどり)の夜

瑠璃の山の峰(を)
峰の名彼(か)の三輪
わが里明日香

帰らぬ日々よ
詠む姫額田(ぬかた)
玉の緒(を)乱れ

嶺雲愁訴(れいうんしうそ)
その雲果てつ
月日を重ね

願ふ天皇(きみ)の名

奈良の世憶良(おくら)
羅睺羅(らごら)祈らむ
無常煩悩(むじゃうぼんなう)

憂き世南無有為(なむうゐ)
率去(ゐゆ)け古日(ふるひ)の
野送りにおお

老いに願はく
栗瓜(くりうり)置けや
山道(やまぢ)辿る間(ま)

幣(まひ)持ちて行け

日(け)長く偲ふ
二上何処(ふたがみいづこ)
越(こし)へ道越え

縁(えにし)深めて
天の山嗚呼
東風(あゆのかぜ)ささ

小夜更(さよふ)け嘆き
君家持(やかもち)ゆ
夢半ば覚め

愛(めぐ)しや御身(おんみ)

瑞穂(みづほ)の国し
然賞美(しかしの)ふゆゑ
酔言笑(ゑひごとゑ)まひ

火の万葉(まんえふ)も
燃えて萌え出せ
千古を照らす

「その四-万葉集に寄す」より