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書籍出版 海風社 書籍案内

  • 新刊

    人権としてのインクルーシブ教育
  • 人権としてのインクルーシブ教育

    濱元伸彦

    1,400円+税

    A5判 並製 / 128頁 / 2026年9月1日

    ISBN978-4-87616-077-8

    「ともに学び、ともに育つ」ことは、すべての子どもに保障される人権である。

    障害のある子どもも、ない子どもも、さまざまな背景や個性をもつ子どもたちも、地域の学校でともに学び、育つ。そのためには、子どもを既存の学校の仕組みに合わせるのではなく、多様な子どもたちを包み込めるように、学校そのものを変えていくことが求められます。

    本書は、インクルーシブ教育を「子どもの基本的人権」として捉え、障害者権利条約や国際的な動向を踏まえながら、その理念と課題をわかりやすく解説します。著者自身の中学校教員としての経験や、長年にわたって関わってきた学校現場の実践をもとに、「もちあじを大切にすること」「つながること」「ともに学ぶこと」の意味を具体的に描き出します。

    さらに、障害のある子どもを別の場に分ける「分離」から、同じ場に受け入れるだけの「統合」を経て、多様性を尊重し、必要な支援や配慮を保障しながら誰もが対等に参加できる「包摂(インクルージョン)」へ――。その違いを整理し、日本の教育制度が抱える課題にも目を向けます。

    海外の実践にも目を向け、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの取り組みから、通常学級を基盤とした学びや、合理的配慮、UDL(学びのユニバーサルデザイン)など、すべての子どもが参加しやすい教育環境をつくるためのヒントを紹介。

    豊中市などの学校で実践されている「もちあじ」を大切にした集団づくりや、子どもたち自身が話し合い、ルールや環境をつくっていく姿も紹介しながら、最後には「ともに学び、ともに育つ」教育を社会に広げていくための具体的な方向を示します。

    インクルーシブ教育とは、障害のある子どものためだけの教育ではない。

    一人ひとりの違いを認め、誰もが「ここにいていい」と思える学校をつくること。それは、誰も排除されない社会をつくることにもつながります。

     教育関係者はもちろん、保護者、子どもと関わるすべての人に、「ともに学ぶ」とはどういうことなのかを問いかける一冊です。

    2026.08.28

人権としてのインクルーシブ教育

人権としてのインクルーシブ教育

濱元伸彦

1,400円+税

A5判 並製 / 128頁 / 2026年9月1日

「私たち抜きに私たちのことを決めないで」

 こうしたこうした国際的な流れの中で注目したいのは、障害のある人自身の声や参加が重視されるようになっていったことです。インクルーシブ教育は、「障害のある子どものための教育」を考えるだけではなく、障害当事者を権利の主体として位置づけ、その思いや願いを社会や教育のあり方に反映していこうとする考え方とも深く結びついています。次に、障害者権利条約についてふれたいと思います。
 障害者権利条約(二〇〇六年に国連で採択)とは、障害のある人を保護や支援の対象としてではなく、権利の主体として位置づけ、すべての人が地域社会の中で平等に参加できる社会をめざしてつくられた国際条約です。教育においても、障害のある子どもが排除されず、地域の学校で共に学ぶ権利を保障することが重要な理念として掲げられています。また、教育の面において、障害者権利条約はインクルーシブ教育を規定し、それを批准国に求める条約でもあります。
 障害者権利条約の精神を学ぶために、私が研修などでよく紹介させてもらっているのが『えほん・障害者権利条約』(6)(藤井克徳著)です。これを、児童・生徒の教材として使っている学校もあると聞いております。 この絵本では、障害者権利条約が二〇〇六年に国連で誕生してから、数年かけてようやく日本にやってくるという過程が、一つの旅のように描かれています。絵本の表紙にも書かれていますが、「私たち抜きに私たちのことを決めないで(Nothing about us without us)」という言葉が出てきます。     このスローガンは、障害者権利条約の理念が世界に広まり、各国の障害当事者らが、条約に基づく制度改革を政府に求めるなかで、その草の根運動の理念として掲げられたものです。障害者施策や制度改革を進めていくにあたっては、障害当事者自身がその主体になっていかなければならない、障害当事者の思いがきちんと反映される制度改革でなければならない、ということを示しています。
 障害者権利条約が実現されたら、世の中はどう変わるのか、絵本は、絵とともに次のようにわかりやすく述べています。「条約が本当に実現されたら、街の中で障害のある人を、より多く見かけるはずです。障害のある人にも、明るさや笑顔が増えるはずです。それは、誰にとっても住みやすい社会となるでしょう。赤ちゃんにも、子どもにも、お年寄りにも、おなかに赤ちゃんがいる人にも、外国の人にも、怪我や病気の人にも。そればかりではなく、疲れた人や大きな荷物をもった人にも。」
 これは、インクルーシブな社会のイメージを示しています。つまり、「全員」が参加しやすく、安心感をもてる社会・環境だということですね。それは、そのままインク
ルーシブな学校・学級のイメージでもあると思います。